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大鳥居のない厳島神社と平家納経。宮島一日観光。

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工事中の大鳥居

「まもなく右手に大鳥居が見えます」
宮島に向かうフェリーでアナウンスが流れたが、写真で見た赤い姿がどこにもない。
一人だけとんちんかんな方向を見ているんじゃないかと怖くなりきょろきょろしてみるが、やはりない。
だいぶ島に近づいてから白いものに囲まれた大きいものが海上に立っているのを見つけ、慌てて『厳島神社 工事』で検索した。
2019年6月から始まった工事は、2022年中に完了する見込みとのことだった。

潮の満ち引きの時間はちゃんと調べたのに、工事中とは知らなかった。
それでも厳島神社本殿には参拝した。

朝の10時前だからなのか、月曜日だからなのか、大鳥居が工事中だからなのか、人は少なかった。
こんなにゆっくり世界遺産に参拝できることもなかなかないだろう。

厳島神社

柱の柱の間に8枚の板が張られた回廊。
柱と柱の距離は8尺で、柱の数も108本。「八」が末広がりで縁起がいいらしい。

舞楽を行う高舞台。阿吽の狛犬がここにも。
舞楽の様子は宝物館に描かれている。大きなお面の上に竜が乗っているのは宮内庁と同じだが、厳島神社のお面には竜の上に二重の塔が乗っている。
理由は分からない。


天皇の勅使が渡ったという反橋はそり過ぎてほとんど滑り台のよう。
調べてみると、建設当初は橋がもっと長かったのでこんなに反っていなかったとか、反った橋になってからは中央に階段を設けて渡ったとか書いてあった。

宝物館と平家納経

出口にある宝物館も行ったが、客は私一人だった。
建物右側の大きな丸太は、先代大鳥居の根本の楠。

小さい博物館だなと思ったが、係員なのか学芸員なのかが「良ければ少し、知っていることをお話ししても良いですか?」と言ってくれて、見方が変わった。
こういった人の話が「少し」で済まないことを私は知っている、が同時に、説明文を読むよりずっと面白いことも知っている。

宝物館には平家納経が収められている。
平安時代後期、平清盛を始めとする平家の人々が法華経を書き写した書で、軸には水晶が使われ、金銀で挿絵が書かれ、文字の背景にも金箔で柄が描かれている美しい書物だ。
平安時代の後期に、手で編まれたとは思えない繊細な組み紐で書が巻かれていることにも注目したい。
厳島神社に奉納されたもので、本物は国宝として倉庫で大切に保管されている。

宝物館で展示されているのは大正時代、およそ100年前に作られたレプリカ。
レプリカと言っても100年前のものだから印刷で作られたわけではない。
平安後期の宝物を失った時のために、本物の水晶、金銀を使って手作業で作られている。
国だけではそんなに豪華な巻物のレプリカは作れなかったので、財閥の力も借りて作られた。
所々文字が枠をはみ出している部分があるが、これも本物と全く同じように、真似して書いている。
本物と見比べても、絵の金箔の色褪せ方が少し違うだけで、形は全く同じなんだそうだ。
柄を付けてから文字を入れるしかないはずなので、金箔の上で絶対に間違えられない写経をするとは、なかなか緊張する作業だったのではないだろうか。

この学芸員のように、こういったことを飽きずに調べられる人は、少なからずロマンを持っていると私は思う。
中国語の「个」の字のような、上向き矢印のような組紐の模様を見て、これには何か意味があったはずだと語る。
甲骨文字には母性に父性が突き刺さるような表現が多い。
甲骨文字には女性の描写ばかりがあるのに、現代は男性中心社会が多い。心と頭を逆転させるような無理をしているんじゃないか。
LGBTQのような性別を超越した存在が増えたり、羊を育てるライオンのようなあり得ないはずの事象が目撃されたり、ロシアのウクライナ侵攻のような第三次世界大戦が起きかねない出来事があったり。
世界規模で何かが大きく変わろうとしているんじゃないのか。
仏教の経典には、旧約聖書よりずっと具体的な浄土の様子が描かれている。
神話は、各国で通信があったはずもない程昔に書かれているのに、世界で共通しているものが多い。
法華経を説いたのは空海だが、彼は女性が何かを生み出したいという母性を浄化させたときに浄土に行けると言われていた。
今もまた、世界規模の何かが起きていて、これを乗り越えた先には浄土があるんじゃないか、と。

空海の下りなど特に、真偽のほどは定かでないが、、
繋がっているような、繋がっていないような、話。
自分と全く違う発想なので面白かった。

私に言わせれば、LGBTQは増えたのではなく、存在を許されたことでカミングアウトできる人が増えただけだと思っている。
古来は女性が中心だったのに今は男性中心になったのではなく、古来から女性は子を産む存在として大切に奥の方に隠されていて、当時もビジネスには参加させてもらえていなかったと思う。
自分の方が弓矢がうまいのにどうして狩りに連れて行ってくれないの!と思っていた女性もいたのではないだろうか。
今の男性中心社会も、子をなすという女性の存在が神秘的で理解できないけど必要なので、奥にしまっておきたい。出てこられては気を遣うので邪魔になる。というのが根底にあるのではないだろうか。
女性が母性を浄化させたときに浄土が現れるなんて、それは人類滅亡、進撃の巨人の「ユミルの民安楽死計画」じゃないか。
コロナや第三次世界大戦を乗り越えた先に浄土があるというなら、それはこの世に新しい命を生み出したくないと思うほどの貧困ではないのか。
平等で苦のない社会とは、全員が「足るを知る」しかない状況、平等な貧困なんじゃないか、と思ってしまう。
餓死はしない生活かもしれないが、宇宙研究も海外交流もAI開発もない、人間の知的好奇心を満たさない生活なのではないだろうか。

牡蠣ごはん

学芸員の話を30分以上は、いや、1時間くらい聞いていた気がする。
腹ごしらえはここと決めていた場所で牡蠣を食べた。
「焼きがきのはやし」の牡蠣三景定食。3000円で生ガキ、焼きガキ、カキフライ、カキご飯が食べられた。
しばらく牡蠣はいいかな、、

弥山

大鳥居を見逃した代わりに何か別のものを、、と思い、弥山に行くことにした。
せっかくならロープウェイを使わずに登山しようと思い、1時間半で最も簡単に登頂できると書かれていた紅葉谷コースに挑戦。
が、これは少し後悔。さすが空海が修行した山、かなり険しい。

頂上とロープウェイの駅(獅子岩駅)に分岐した道に出たところで、登頂を諦めてロープウェイ駅に向かってしまった。
ロープウェイ駅には休憩スペースがあったが、頂上には自販機もなかったようなのであの状況では正解だったと思う。
結局そのまま登頂を諦めてロープウェイで下山。

獅子岩駅には無料コインロッカーもあるので、行きもロープウェイにして荷物を預け、山頂まで歩くのが良かったと思う。

最後は、もみじ饅頭食べて、鹿を眺めて、帰路へ。
宮島には昔から鹿が多かったようで、神の使いとしいて大事にされてきた。
最近は生態系が壊れることを恐れて数を減らしたいらしく、餌やりも禁止。
ちょっと痩せた鹿が多いような気がする。

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