BOBOSはアメリカで台頭した新上流階級だ。
Bourgeois(ブルジョア)とBohemians(ボヘミアン)を組み合わせた造語で、2000年にジャーナリストのDavid Brooksによって定義されたのが始まりらしい。
私は橘玲さんの著書を何冊か読んでBOBOSの存在を知ったが、これこそが私が目指したい理想の生活なのではないかと思った。
今の仕事が嫌いではないし、それなりのお給料ももらって満足しているけれど、「自分の好きを仕事にしているのか?」「一生この仕事をやり続けられるか?」と聞かれると少し答えに詰まってしまう。
だって、今の仕事しか知らないなら、これが自分が一番好きなことなのかどうか分からないから。
いくら好きな仕事でも、一生やり続けたら飽きてしまうと思うから。
林檎も葡萄も好きだけど、どちらの方が好きかなんて選べないし、例え林檎の方が好きでも、一生林檎しか食べられないなんて嫌だ。
そんな私に、毎日十何時間も働いて達成感を得続けることなんて無理だろう。
私が欲しいのは自由だ。
好きな仕事でも、嫌な上司にあたったら逃げられる自由。
政治にも景気にも、振り回されない自由。
BOBOSはそんな生き方を成し遂げた人の集団ではないかと思った。
BOBOSの特徴
BOBOSは夫婦共に高学歴で、都市部に住み、経済的に恵まれているものの消費やライフスタイルは堅実。
ドナルド・トランプのようなこてこての「大富豪」を軽蔑して、最先端のハイテク技術に囲まれながらも自然で素朴なものを愛している。
自分の好きな仕事にある程度打ち込むが、家族とのつながりも大事にして、週末にはハイキングに行く。
Work hard, Play hardという深夜まで働いてクラブに行くような生活ではなく、ある程度働いてゆっくり遊ぶのだ。
食事に行くなら高級フレンチではなく、家族や気の合う友人とくつろげる近所のビストロを選ぶ。
身近な人との関係を大切にするが、決して排他的な差別主義者ではない。
そのリベラルな態度から世界中に弱いつながりの知り合いがいる。
また、BOBOSは知識活動に価値を見出すので、成功した後も学びを欠かさない。
学んでいる上に経済的にも恵まれているので、健康に良いオーガニック食品や、難民援助に繋がるハンドメイドの雑貨、環境に配慮した製品を購入する。
BOBOSの最たる人がアップルの創業者スティーブ・ジョブズや、Facebookの創業者マーク・ザッカーバーグ。
2人に共通するのは、自分の「好き」を追求して大金持ちになったのに、生活が質素なこと。
スティーブ・ジョブズはミニマリストで黒のタートルネックとジーンズしか着ないことで有名だったし、マーク・ザッカーバーグはその質素な生活から「世界一プアな大富豪」と呼ばれている。
BOBOSの生活はミニマリストに似た部分があるのかもしれない。
BOBOSの仕事
BOBOSになるのはクリエイターやスペシャリストだ。
クリエイターは、例えば、芸術家や、ミュージシャン、ベンチャー起業家。
自分で何かを創造することができるので、誰かに雇われる必要がない。
スペシャリストは、何らかの専門分野を持っている人のことで、コンサルタントやトレーダー、プログラマーなどがいる。
会社に所属して働く人もいれば、フリーランスとして個人で仕事を受注する人もいる。
クリエイターとスペシャリストに共通しているのは、会社に依存しない働き方ができること。
クリエイターは元々会社に属していないし、スペシャリストも自分の専門性を活かして転職したり、フリーランスになったりすることができる。
「一生この会社で働くんだ」なんて、狭い人間関係の中で生きる必要がないのだ。
さらに、子供ができれば会社勤めよりフリーランスになった方が時間の融通が利く。
経済的に自立しているなら、好きな仕事を好きな時間にできるような環境を作り、家族の時間を大切にしたいと思うのだろう。
BOBOSの思想
BOBOSはリベラル派だ。
自分たちが自由な生活を好んでいるのだから、他の全人類も自由であるべきだと思っている。
LQBTQ同士の結婚も”好きにしたら良い”し、移民・難民も”実力があるなら先進国で適職につけば良い”。
基本的に寛容だが、自分たちの利権を守ろうとして変化を嫌う保守派にはちょっと冷たい。
まとめ BOBOSになるために
仕事も人間関係も自分で選択できて、経済的に不安もないBOBOS。
だからこそ、他人の自由も認めることができるBOBOS。
年金問題やら、景気対策やら、そんなことに一々騒がなくてはいけなくなるのは、彼らが日本という国や会社に依存して生きているからだ。
何にも依存しない、というより、依存先をコロコロ選択し直せる自由があれば、国がどうなろうと騒がなくて済む。
私もそんな生き方に憧れるが、どうしたら良いんだろうか。
とりあえずは、会社に依存しなくても一定期間は生きていける金融資産を持つことだろう。
会社に依存しなくても仕事を得られるよう、人的資本を磨くことも大切だ。
私はクリエイターではないから、スペシャリストとして今の仕事をもっと極めていこう。
そして、他人の自由も認められるリベラルな人でいられるよう、変化を恐れず学び続けることだ。
「好きなことをしろ」と言われても何が一番好きなのかが分からない、と悩んでいたが、目指すべき理想の生活がイメージできるようになった気がする。