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男女格差を経済学的に考える

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日経新聞編集の「こころ動かす経済学」を読んでみました。

これはもう一度ちゃんと読みたい本・・・!
トピックが多すぎて一度では処理しきれなかった

経済と言うと、為替とか、投資とか、お金の話に見えるかもしれませんが、それは主に金融の話でしょう。経済学は「市場原理」に関するものです。
人間が生み出した合理的な取引環境、市場。
面白いのは、市場の中では、人間一人ひとりは自分が得をするように動いているだけのつもりでも、結果的に良い社会になっていることだと思います。
日本では特に「カネの亡者」は嫌われますが、市場の中でお金を稼ごうとすると、結果的に大きな社会貢献をしていることになるのです。

特に印象に残ったのは、市場が差別をなくす話。

ある地域では黒人が差別を受けており、幾らかの企業は黒人を雇いたがらないため黒人の給料が白人より安いです。
なので、ある黒人とある白人の生産性が同じなら給料の安い黒人を雇った方が効率的です。
差別のない企業は黒人を雇いますが、差別のある企業は白人しか雇いません。
これを何年も続けたらどうなるか。
市場では、差別なく黒人も雇った企業が勝ち残ります。
道徳も社会貢献も考えず、市場で稼ぐことだけを考えていれば差別はなくなるのです。

日経新聞の『こころ動かす経済学』では、経済学を元に、何が幸福度に影響を与えるのか、会社と従業員の魅力的な関係とは何か、「おもてなし」とは何か、という話を読み解いています。
どのトピックも面白かったですが、特に市場における男女の行動の違いには興味を持ちました。

近年政府は「女性活躍推進!」と叫んでいます。
まるで、今まで女性は生産的な仕事をしていなかったみたい。
しかし、能力的に差異があるという研究結果はありません。私も自分が体力面以外で男性に劣っていると思ったことはありませんし、店舗ごとの売上コンテストをした企業でも店長の性別と売上の結果に相関はなかったそうです。
ではなぜ男女に賃金格差があるのか。

  1. 刷り込み
  2. 家事分担

1.刷り込み

ある経済実験では男女のリスクの取り方に差異がありました。
男性の方が自信過剰になる傾向があり、博打を打ちがち。成功すれば高い報酬をもらえますが、失敗すればマイナスになります。
女性の方は確実に報酬をもらえるように動く傾向があるので、マイナスにはなりませんが平均すると男性より報酬が低くなってしまいます。
給料の交渉をするときも同じで、男性の方が自分の報酬に抗議することが多いようです。

なぜリスクの取り方に差が生まれるのか。

一番ありうる答えは、幼い頃からの刷り込みです。
男の子はちょっと危ない遊びをしても「元気な子」として褒められ、ある程度リスクをとったスリリングな生活をすることが望まれています。
一方、一般的に望ましい「女の子像」は家でおとなしく、堅実に過ごす子でしょう。
この社会規範の中で育てられた結果、リスクの取り方に差が生まれるのです。

実際、嫁入りが一般的な部族と婿入りが一般的な家族では、リスクの取り方による男女差が逆になるようです。

2.家事分担

家事は普段からやっていないと億劫な仕事です。
そして、社会規範的に、家事は女性の仕事というイメージがあります。
その結果、女性は子供の頃から家事をする頻度が高くなる。
一度この流れができてしまうと、結婚後にそれを覆すことはどんどん難しくなります。

男性は、普段家事をやっていないので家事をする心理的負担が大きくなる。
女性は、家事は女性の仕事という社会規範のせいで家事をしない心理負担が大きくなる。やらないことに罪悪感を感じてしまうのです。

この差異が大きくなるほど女性は家庭に入った方が合理的になってしまいます。

繰り返しになりますが、男女が生まれながらに能力的な差異を持っているわけではありません。
全ては社会規範と、それに伴う幼少期の経験のせい。
従って、先に述べた市場が差別をなくす話でいくと、企業は積極的に女性を採用するべきなのです。

しかし、実はこの市場が差別をなくす話には続きがあります。
アメリカでは市場原理が働いているのに、未だなお黒人差別が残っています。
能力的な差異は絶対にないのに、なぜか。
結局は人の心のせいです。
白人の方が給料が高いから白人の方が生産的なはず、みんながそう言っているから白人の方が生産性が高いはず。
その思い込みのせいで、企業も社会も損をするのです。

今の社会現象がなぜ起きているのかを合理的に考える。
そのためのツールとして経済学はとても役に立つと思いました。
でも結局、根源的な問題は愚かで非合理な人間のこころ。
こころを動かせるレベルの経済的仕組みっていったい・・・

ハヤブサ ナナミ

一橋大学商学部卒業後、外資系IT企業に就職。学生時代の専攻は財務諸表分析。学外では、就活用LINEchatbotを開発。文系卒SEとして「何を作るべきか」と「どう作るべきか」の両方が分かるようになりたい。英語はまあまあ中国語はもう少し。ちょくちょく海外独り旅。
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