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ロックダウンしなかったスウェーデンのコロナ対策が合理的

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前回は、重症化リスクの低い若者にまで自粛を強制して経済を停滞させるより、重症化リスクの高い基礎疾患のある人及び高齢者を逆隔離させた方が効果的だと思う理由を述べた。
医療崩壊も、コロナに過敏になりすぎず、民間病院と自宅での治療で済ませれば起きないと思う。
重症化リスクの低い人まで自粛させ、それに対する補償を払うより、重症化リスクの高い人を逆隔離して医療整備に予算を使った方が効果的だと思うのだ。

スウェーデンのコロナ対策経緯

私のこの考えに沿った政策をしたのではないかと思うのがスウェーデンだ。
スウェーデンがとってきたコロナ対策をまとめる。

スウェーデンは規制をせずに集団免疫を目指したなどと言われることもあるが、それは事実ではない。
意味のない規制は行わず、限られた医療資源でも医療崩壊を起こさず、救える命を救った。
それがスウェーデンのやり方だ。

  • 2020年1月 コロナ第一例の発見
    スウェーデンでは2~3月に長期休暇期間(スポーツウィーク)があり、多くの人が海外に出かけた。
    3月から感染拡大。周辺の北欧諸国より感染拡大が早かったのはスポーツウィークのためだと考えられる。
  • 2020年3月11日 WHOパンデミック宣言
  • ロックダウンにはエビデンスがないとして行わなかった
  • 2020年3月12日 医療機関で面会禁止
  • 2020年3月12日 500人以上集まるイベントは禁止
  • 保育園、小中学校は閉鎖せず。高校以上は遠隔授業
    • 子供は感染しても重症化しないので感染拡大の原因にならない。
    • 小中学校まで閉鎖すると医療従事者の約10%が勤務できなくなるとの試算。
  • 2020年3月29日 50人以上集まるイベントは禁止
  • 2020年4月 介護施設への訪問が禁止
    • 後に違憲判決が出る。
  • 2020年8月 高校・大学の対面授業再開
  • 2020年12月 追加規制
    • レストランでの同席は4人まで
    • 飲食店でのアルコール販売は20時まで
    • ショッピングセンターは入場最大人数を決める
  • 2021年1月 混雑する通勤時間に限りマスク着用の推奨
    • マスク着用による感染防止のエビデンスが乏しいこと、マスクを着用すればソーシャルディスタンスは関係ないと勘違いされることを避けるため、マスク着用は強制されてこなかった。

日本より限られた医療資源でも医療崩壊しないスウェーデン

国民1000人あたりの病床数は、日本が12.5に対してスウェーデンは2
限られた医療資源を有効に活用するため、また、最先端の医療を平等に提供するために、医療へのアクセスは制限されている。
国民は救急診療を除き、家庭医の紹介が無ければ専門医を受診することはできない。

救うことのできる命を救い、救うことのできない命には資源を使わないのがスウェーデンの医療現場。
ICUに入室できるかどうかも、入室した場合助かる可能性がどの程度あるかを医学的に判断される。
若い患者でも、癌の終末期で予後が短い患者は入室できない。
家族が医学的根拠のない治療を望んでも、受け入れられない。

特筆するべきは、日本の6分の1の病床しかないスウェーデンで医療崩壊が起きていない点だ。
感染のピーク時にもICUは満床になっていない。
救える命を救うために、普段からトリアージ(治療の優先度を決めること)を行っていたからだろう。
また、コロナ以外の一般診療を家庭医が請け負うなど、医療資源を柔軟に分配することができている。

スウェーデンでの死者数内訳。状況が極端に悪いわけではない

2021/02/02までのスウェーデン年齢別コロナ死者数(https://www.statista.com/statistics/1107913/number-of-coronavirus-deaths-in-sweden-by-age-groups/)

2021年2月時点のスウェーデンのコロナ死亡例は12,115件。
年齢別では、日本と同様70歳以上の高齢者の死亡例が多い。
日本の100万人当たり死者数がこれまでの合計で50.88なのに対し、スウェーデンは1177.88。
これだけ見るとかなりの人数が死んでいるように見えるが、スウェーデンではパーソナルナンバーが普及しており医療統計が正確すぎるため、死者数は過大評価されていると考えるべきである。
PCR検査陽性診断時から30日以内の死亡、及びPCR検査陰性でも臨床的に感染が疑われた場合は全てコロナ感染死として数えられた。
極端な話、PCR陽性診断の1か月後に交通事故で死んでもコロナ感染死になる。
ある地域のカルテ調査では、コロナが直接の死亡原因であったのは15%との報告もある。

70歳以上の死亡者の内、50%は介護施設に居住していた。
スウェーデンの介護施設には通常自宅で生活できないレベルに症状の重い高齢者が入居し、介護施設入居後18カ月後の生存率は60%である。
元々介護施設の医療設備はあまり整っていない上、救える命は救い、救えない命には医療資源を使わない医療体制なので介護施設でクラスターが発生すれば死者数は増える。

また、出生国別感染者数を見ると、スウェーデン以外の移民の感染者が多いことが分かる。
これもスウェーデン社会の脆弱性だが、言語が異なる移民に情報が伝わらず、移民が多く住む地域でクラスターが発生したという事情がある。
さらに、介護施設でのパートタイマー(低賃金労働者の位置づけ)には移民が多く、移民を介して介護施設でクラスターが発生し、高齢者の死亡率が高く出た可能性が示唆されている。

スウェーデンのコロナ対策から分かること

私が最初に着目していたのは、

  • ロックダウンを行っていないこと
  • 介護施設への訪問禁止という逆隔離を行っていたこと

の2点だったが、今回詳細を調べると、介護施設への訪問禁止には後に違憲判決が出た。
考えてみると、死者数を減らすには逆隔離は効果的だが、老い先短い高齢者からすれば、余生を自粛して長生きするより外出したいと思うのも分かる。

日本で恐れられている医療崩壊だが、陽性者数が日本より多く、病床は日本より少ないスウェーデンでも医療崩壊は起きていない。
トリアージを適切に行えば医療崩壊は起きないと言うことではなかろうか。
トリアージを行っていても、命の選別をしていると国民に批難されているわけでも、混乱をきたしているわけでもない。

冒頭にも書いた通り、ロックダウンを行わなかったのは集団免疫を目指したからではなく、エビデンスに乏しいからである。
結果的に過大評価された死者数の大半は基礎疾患があり介護施設にいた高齢者ということなので、若者の外出自粛はやはり意味がないと思う。

国民の意見も取り入れて、介護施設への訪問禁止を解除するなど死亡者数削減という目標には反する対応も取る政府。(国民側がちゃんと反論できるのもすごい。)
ロックダウンを行わないなど、エビデンスのある規制だけを行う政府。
トリアージを理解し、政府の方針を信頼する国民。
どちらも素晴らしいと思った。

何が費用対効果の良い感染症対策なのかを議論せずに感染者が増えたら自粛要請する政府。
根拠なく医療崩壊の恐怖を煽る国民。(メディア?視聴率が取れる情報を流すのがメディアだと考えれば、国民全体が悲観的な情報を欲しているからメディアが恐怖を煽っているともとれる?)
日本には合理性が足りないと思う。

参考:

https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/3743
https://forbesjapan.com/articles/detail/39109/5/1/1
https://square.umin.ac.jp/~massie-tmd/real_world_in_sweden.html

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